柴犬に関わらず、犬を飼っていると、夏は心配な季節になります。すでに暑さ対策については、このサイトでも述べていますが、うちの柴の場合、かいつまんで言えば、できるだけ自然に任せた対策をしています。もっとも、綺麗な言い方をすれば、の話であり、実際はただ単に、飼い主が横着でケチなだけです。(笑)
- 夏の暑さ対策
しかし、柴犬を飼っていると、暑さとともに、もう一つ心配なことがあります。むしろ、うちの柴の場合、そちらの方が大きな問題になっていました。それが今回お話する雷についてです。
このサイトを立ち上げた頃、マンションで暮らしていましたが、その前は借家に住んでいました。かつて身内だった人(笑)の空き部屋があったので、うちの柴の居場所にしました。当時は、派遣社員だったので都内まで通勤し、当然、独りで留守番させていました。なんだかんだ言っても、このサイトで取り上げたコングのおかげで、留守番を覚えたのは確かです。
- 留守番させる
そんな留守番をさせていた、ある夏の日のこと、わたしが帰宅すると、うちの柴がフセをしていました。借家は二階建てで、うちの柴は二階にいたので、階段上の踊り場にいました。いつものようだ、と思いましたが、踊り場の窓の付近が濡れていました。小さな窓で外からは侵入できないことを確認していたので、暑さ対策で半分開けていました。夕方雨が降ったことを知っていたので、雨は仕方ないか、と思いました。
けれども、うちの柴がどことなくソワソワし、変だな、と思いました。その頃は、トイレもまだ完璧ではなかったので、帰宅後のトイレ清掃が日課でした。ヤレヤレ、と思いながら、二階に上がり、部屋を見ました。すると、アチャア、と声を上げてしまい、その後しばらく言葉が出なくなりました。畳の部屋でしたが、二三箇所穴が掘られていました。しかも、雨とは違った濡れた痕があり、「カリントウ」もいくつか添えられていました。不思議なことに、お手製の仕切り内のトイレには、汚れ一つありませんでした。
ふと、うちの柴を見ると、何かを感じたのでしょう。申し訳なさそうな顔をしていました。わたしは、一瞬ムカッとしながらも、夕方の雨では雷も鳴っていたことを思い出しました。さすがに怒ることもできず、少し面倒な日課になった、と思いながら、片付けをしました。こんな事は珍しいだろう、とも思い、正直、やり過ごしました。
しかし、見通しが甘かったようです。雷が鳴る度、穴が大きくなったり、増えていたり、濡れていたこともあり、「カリントウ」が放置されていたこともありました。疲れて帰って来た時は、さすがに怒ってしまい、今考えれば、そういうことは御法度でしょう。トイレもまだまだ不十分で、さらに、当時散歩は朝晩していたので、だんだんだんだん面倒にもなっていました。うちの柴が雷でパニックになったのなら、わたしはその対処で頭の中がパニックになり、どうしたら良いのか、と悩んでしまいました。
もちろん、ネットでも調べてみました。見つけたものは、雷の音を聞かせる方法で、慣れさせるために行うようです。できれば、目の前で鳴っている音をそのまま録音し、聞かせるのがいいようですが、わたしには適当な録音マイクなどがなかったので、ネットから音を入手しました。パソコンとミニコンポをつなぎ、音を聞かせましたが、何の反応もなく、ポケ~ッとした顔をしていました。こりゃだめだ、と思っていたら、結局、同じ事を繰り返しました。仕方ないので、掛かり付けの獣医に相談することにしました。
「雷を怖がるんですけど、どうしたらいいですかね?」
「雷ねえ。難しいねえ」
「音に慣れさせるのがいい、と聞いたので、やってみたんですが、ダメでした」
「うちで外飼いしてた犬は、雷が鳴って、ビックリして、2メートルの塀を越えたからね。どうしようもないねえ」
「対策はないですか?」
「ないねえ。雷が鳴ったら、側に寄せて、ヨシヨシするくらいだねえ」
診察室を出ると、受付には、女性獣医でもある奥さんがいました。この時は、フィラリア対策で訪れていました。当時は、まだ血液検査が必要な薬を使い、最初の診察だったので、うちの柴も連れて行きました。奥さんがうちの柴に声を掛けたので、折角なので、奥さんにも尋ねてみました。
「柴ちゃんはねえ、大体雷が苦手なのよねえ。平気な子もいるけどね」
「慣れしかないですかね?」
「そうねえ」
獣医が悪い、という気持ちは湧かず、仕方ないな、と思いました。当然、これからどうするか悩みましたが、今更手放せない、とも思いました。仮に雷でパニックになったから飼うのを止めた、となれば、後悔はもちろん恥かしいとも感じました。中には、そういう飼い主もいるかもしれませんが、自分は同類にはなりたくない、と思いました。あれこれ考えましたが、これしかないか、と思い、実践しました。それは、もしもの時に備え、極力被害の範囲を狭める方法です。
先で申し上げた借家の時は、一部屋を諦めました。出て行く時は敷金ないな、と思いながらも、金より優先だ、と開き直りました(笑)。結局、うちの柴と数年二人暮らしをし、オーナーが売却するとのことで立ち退きとなりました。単なる明け渡しだったので、余計な負担もなく、その点ではラッキーでした。
また、その借家には、うちの柴がいた部屋の向かいにももう一部屋あり、さらに、一階にも台所とリビングがありました。今から考えれば、贅沢な環境でしたが(笑)、わたしが仕事へ行く時は、うちの柴の部屋以外、全てドアを閉めていきました。階段の上り下りができたので、下まで防止するようにしました。実際、向かいの部屋は「被害」にあったことがありました。パソコンを置いていましたが、その側に濡れた痕があった時は、本当に困りました。
けれども、こうして開き直ってからは、わたし自身が安心したことは確かです。雷でパニックになっても、片付ける範囲が決まっていました。次第に慣れていったのか、パニックの形跡は、毎回ではなくなりました。何もなかった時は帰宅してから褒めて上げましたが、理由が分からないようで、照れたような表情をしていました。
また、マンション暮らしになった時も、同じような方法にしました。小さな部屋があったので、そこを専門に使わせるようにし、留守番の際は、せいぜい目の前のキッチンにしか行かせないようにしました。しかも、先の借家は壊すことにもなっていたので、オーナーの許可を取り、畳も貰って来ました。穴が残っていましたが、むしろ、犬にとっては、使い慣れているので安心感があったようです。多少なりとも、騒音対策の意味合いもありました。
けれども、わたしの予想が外れたり、あるいは、つい忘れてしまったこともあり、別室である畳の部屋で、何カ所か穴を掘られてしまいました。退去の際、原状回復義務との関係で、結構なお金が掛かりました。マンション暮らしについては、いずれ別記事でお話する予定ですが、犬も完璧でなければ、人も同じであり、むしろ、そうだからこそ、一緒にいられるとも言えるのでしょう。
そうは言っても、四苦八苦した雷対策は、わたしが派遣社員だった時までです。SOHOをするようになってからは、買物の時に気を使う程度で、あまり心配しなくなりました。うちの柴も理解したのでしょう。派遣社員時代、休みで家にいる時、雷が鳴ると、ビクビクしながら、わたしの側に寄ってきました。パニックの前兆と思いましたが、わたしが動じないでいると、だんだん落ち着き出し、静かになるまで、側でフセの姿勢をしながら、辺りを観察していました。
SOHOを始めてからは、最初のうちは同じようでしたが、次第にわたしがいることが当たり前と感じるようになり、雷が鳴ってもあまりビクビクしなくなりました。今では、平気になってしまい、フセをすることもなく、横になって、フウスカ、フウスカ寝ていることもあります。そんな姿を見ると、苦労したことを思い出し、たまに腹立つことがあります。鼻や耳を触って、意地悪しますが、ほとんど動じないようです。犬もまた、ご都合主義なのでしょう。(笑)
ともあれ、わたしが行った雷対策は、すでにお話したように、パニックがあることを前提に、被害の範囲を極力狭める方法です。大袈裟な言い方でしょうが、危機管理のあり方と似た面があるかもしれません。しかし、これはあくまで、うちの柴の場合です。個々の環境によっては、同じような対策はできないかもしれません。
おそらく最も適切なことは、サークルなどに入れておくことでしょうが、パニックになると、簡単に飛び越えてしまいます。掛かり付けの獣医も2メートルの塀を越えたことを言っていましたし、うちの柴であっても、借家のお手製の仕切りを越えてしまいました。一度覚えてしまうと、どうしようもなくなります。ならば、誤解を招くような表現になりますが、ケージに閉じ込めておく方法もあります。
しかし、たとえ出られなかったとしても、お漏しをした場合、掃除は元より衛生面も問題になるかもしれません。あるいは、状況によっては犬の健康にも良くないかもしれません。結局、わたしが見つけたように、パニックを認め、許容範囲内であれば、そのままにさせる、というのが、現実的かもしれません。もちろん、この世に絶対というものはなく、ここで取り上げた方法以外でも、適切なものがあることでしょう。大事なことは、色々な情報を集め、比較検討し、自分のケースに合わせながら、雷対策を行うことだと思います。
長くなりました。今回もまた、まとまりのない記事になりましたが、何らかのご参考になれば、幸いです。犬を飼うことは、時に面倒になりますが、慣れてしまうと、日常化してしまうものです。しつこいようですが、やはり、犬も人もご都合主義であり、生き物とはそういうものなのかもしれません。格好付けた言い方をすれば、適応能力となるのかもしれませんが、さらに長くなりそうなので、この辺りで終わりにします。
次回もまた、よろしくお願いします。