柴犬も含めた犬のしつけにおいて、もっとも重要なことが、主従関係を築くことでしょう。極論のようなことを言えば、犬との生活の源であり、主従関係がしっかりできていれば、犬に対する全ての悩みが解消できるかもしれません。しかし、それがなかなかできないため、犬のしつけ学校があったり、あるいは、しつけの書籍などが、書店などで売られていたりするのでしょう。今回ここでは、主従関係の築き方をトピックとしていますが、主従関係を理解する上で、基本となることが、犬の特性や本能などを知っておくことです。当然、柴犬にも共通していることですが、すでに当サイトでも、お話しています。
柴犬の飼い方
- 特性(習性や本能)とは
特性などには種々のものが見受けられますが、主従関係構築の中で、前提となるのが、犬は集団の動物だということです。家庭においてなら、飼い主がリーダーであり、家族があれば、犬以外は、すべて上位に属する人です。一人でも、犬が自分の下位に属すると思えば、その人の言うことを聞かなくなります。したがって、子供がいれば、子供も犬の上位であることを犬に身につけさせることが大切になります。ただし、犬は、集団の中で勝手に順位付けをしているとのことです。もし犬自身が集団のリーダーであると認識してしまえば、問題行動を引き起こすことは、お分かりいただけるでしょう。では、どのようにすれば、犬に適切な順位を意識させることができるのでしょうか? まずは、セオリーと言えるものから、お話していきます。
1、人の生活を優先させる
これは、別な言葉にすれば、犬のペースに合わせないということです。たとえば、犬が散歩に行きたがる素振りを見せても、いつもの時間と異なれば、行かないようにすることです。また、甘えて来たとしても、安易に可愛がらず、メリハリを持った接し方をすることです。
2、対応方法を決めておく
これは、気分によって、接し方を変えないということです。人の生活を優先させることと重なる部分もありますが、ある時には、大いに褒めるのに、別な時には、ちっとも褒めない、ということは犬に戸惑いを与えます。しかし、何でもかんでも、厳格に接しろ、ということでもありません。犬もまた飼い主も、生き物では共通しているので、時に寄り道したくなることもあります。そういう場合は、思い切り遊んで上げる、もしくは、遊んでもらうことも(^O^)、大事なことであると思います。
3、皆でしつける
これは、家族がいる人にとって、重要なことです。たとえば、父親だけがしつける、あるいは、母親だけがしつける、ということであれば、その人の言うことしか聞かなくなります。そのため、小さな子供がいても、その子供も大人と同じように、犬にしつけを行うことです。もちろん、しつけの仕方にも、統一を持たせるようにします。仮にある人が「オスワリ」で、別な人が「スワレ」では、犬も困ってしまうのではないでしょうか?
また、犬と一緒に食事をせず、家族が食事の最中、欲しがっても、決して与えないようにすることです。理想は、家族が先で、犬が後になりますが、どうしようもない時は、主従関係がしっかりしていれば、逆の時間になっても、問題はないでしょう。大事なことは、一緒に食事をせず、犬は犬、人は人、という意識を植えつけさせることです。
4、毅然とした態度を取る
主従関係を築く上で、これがもっとも大事かもしれません。リーダーと聞いた時、皆さんは、どのようなイメージをお持ちになるでしょうか? わたしは、育った環境から、ついドリフターズのいかりや長介を連想してしまいますが(^O^)、リーダーらしさとは、判断をしっかりし、はっきりした回答をすることだと思います。結局、最初に戻るようですが、メリハリのある接し方を、犬に行うようにすることでしょう。たとえば、犬が入ってはいけない部屋に入ろうとすれば、明確に禁止であることを示し、二度と同じようなことをさせないようにします。また、散歩中に余計な行動を取ろうとしたり、あるいは、家族の邪魔をしそうになった時などでも、同じように、きっちりした態度を取ることです。
ただし、これは、体で覚えさせることがいけないということではありません。ある程度、犬の体にタッチしないと、犬自身も覚えないとも言われています。しかし、暴力でもって覚えこませるのではなく、体で身につけさせる、という程度です。恐怖政治を敷けば、確かに犬も大人しくなるでしょう。けれども、それは犬が怯えて従っていることであり、決して楽しい生活ではありません。右向け右と命じられ、暴力が来るから従う、というのではなく、右を向いたら楽しいから、というのが、理想的なあり方です。それには、犬との信頼関係の構築、要は、やはり、主従関係をしっかり築くことで、出来上がると言えるでしょう。
これらのほか、もう何点か、具体的なものがあります。子犬の時に多いかもしれませんが、犬を抱き上げる機会があると思います。つい、犬の顔を自分の顔の辺り、あるいは、顔の上の方に、持ってきてしまうこともあるかもしれません。しかし、これは、セオリーから言って、厳禁であり、抱き上げる時は、あくまで自分の顔の下に止めておくべきです。犬は、自分が上にいると、集団でもその通りと認識してしまうようです。
また、飼い主が上位であることを示すために、ホールドスチールという方法もあります。これは、犬を伏せの姿勢にし、飼い主が犬の背後に回ります。犬の体をじっとさせ、時にノズル(口)を持ち、上下に動かしたりします。こうすることで、飼い主が犬の上位であることを、体で身につけさせるようになります。ただし、力加減については、十分考慮すべきです。力が入り過ぎれば、しつけではなく、暴力となってしまい、逆効果を生んでしまう危険性もあります。優ししさとともに、厳しさを持った接し方が、重要になります。
以上、セオリーとしての主従関係の構築方法ですが、正直、犬にしつけをすることは、結構、面倒なことです。(^O^) わたしの場合、室内飼いが初めてだったため、飼い始めの時は、犬に時間を取られてばかりでした。これまで当記事で述べて来たことも、行っています。つい厳しくなり過ぎたことも、確かにあります。けれども、時間が経つにつれ、犬も諦めたのか、あるいは、バカ犬のバカ主人と認めるようになったのか、素直に従うようになりました。(^O^)
また、一般的には、子犬の頃が可愛いと思いがちで、成犬になったら、そうではないので捨ててしまう、ということもあるのでしょう。しかし、わたしの場合、成犬になってからの方が、可愛くなっています。(^O^) なぜなら、飼い主の言うことをしっかり理解するようになったからです。完璧であるかどうか分かりませんが、うちの柴との間には、とりあえずは、主従関係ができているようです。
ところで、経験上、犬との主従関係を判断する簡単な方法があります。それは、犬と視線を合わせ、犬が先に視線を外すかどうかということです。犬が下位であると認識していれば、犬自ら視線を外します。これは、動物一般にも当てはまることのようです。たまに野良犬に遭遇した時、野良犬がこちらを見ていると、視線を合わせ、その場を動かないようにします。多少、威嚇を与えるようにしますが、そうすると野良犬は、何かある、と察し、自分から逃げるようになります。
たまに、視線を合わせる前に、走り寄って来る野良犬もいますが、さすがに犬の飼い主であり、蹴ったりしたくないので、目を見ながら威嚇すると、立ち去って行くケースがほとんどです。これは、スポーツの「プレッシャーを掛ける」ことと似たようもので、山で熊と遭遇した時の対処方法でも、利用できるようです。そうは言っても、山の中でいきなり熊に遭ってしまえば、パニックのようになってしまうのは、致し方のないことかもしれません。(^O^) いずれにせよ、犬との主従関係の判断には、経験上、視線を合わせることが、一つの方法です。もしご存知でなければ、一度お試しいただければ、誠にうれしい限りです。
なお、犬のしつけ方法を収録したDVDとして、「パーフェクトドッグ」というものがあります。主従関係の重要性も説明され、わたしが視聴した限り、大事なことがコンパクトにまとめられていると思います。
ドン・サリヴァンというアメリカの訓練士が出演し、本人が監修もしています。宣伝文句に、たった数分で、とありますが、それは覚えてから行動に現れるまでの時間であるように思います。(^O^) 実は、「パーフェクトドッグ」から利用したしつけ方法があり、それは、入ってはいけない場所を身につけさせるものです。「パーフェクトドッグ」の中では、キャンプ地での行動として描かれていましたが、行って良い所とそうでない所の境界付近に犬を呼び、マテをさせ、飼い主が呼びつけるまで、犬をそのままにしておきます。これを繰り返すことで、犬が行ってはいけない場所を自然に覚えるようです。
うちの柴の場合、玄関から勝手に出ていくことがありました。そうさせないために、玄関付近に柴を呼び、マテをさせ、わたしの命令があるまで、じっとさせました。今では、散歩などで、わたしが先に玄関に立ち、呼びつけて首輪とリードを付け、なおかつ、玄関に降りてもいいと命じない限り、勝手に出ていくことはありません。ちなみに、うちの柴が玄関から勝手に出ていった時、すぐに捕えることができましたが、非常に腹が立ったことは確かです。わたしの足元から走り去った後ろ姿を、今でもはっきり覚えていますが、あの素早さは、決して忘れられません。ちょっと厳しくしてしまったことは、最後に告白しておきます。(^O^)
今回は、主従関係を築くことを取り上げました。いつものように、まとなりのない文章ですが、皆さんのお役に立つようであれば、幸いです。次回もまた、よろしくお願いします。